ノートパソコン向けの「Core i7-12700H」と「Core i7-1165G7」の性能を比較します。
もともと性格のちがうCPUではありますが、新旧比較でどれくらいパフォーマンスがちがうのかをチェックしていきます。第12世代は飛躍的に性能を伸ばしていますが、Core i7-1165G7には強力なCPU内臓型グラフィックという武器があります。実際にベンチマーク、RAW現像、動画編集などを行い、その差を比較していきます。
ライバルのRyzen CPUや、ここ最近主流となっているCPUも登場しますので参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
Core i7-12700H vs Core i7-1165G7
解説に入っていく前に「CPUの見分け方や意味がわからない」という人がいれば、「CPUの選び方(スコア)」という記事を参考にしてください。
当記事で掲載されたスコアは性能を約束するものではございません。
Core i7-12700Hのポイント
- コードネーム「Alder Lake」
- 14コア20スレッドでデスクトップ並みの処理を実現
- ハイブリッドアーキテクチャを採用
Core i7-12700Hはノートパソコン用CPUの中でも上位向けのCPUです。処理能力が必要とされるクリエイト向け、ゲーミング向けモデルに多く採用されます。
第11世代との大きなちがいは、ハイブリッドアーキテクチャを採用している点。これは高性能コアと高効率コアの2種類をブレンドしたもので、処理に合わせてパフォーマンスを引き上げたり、省電力に振ったりといったことを行ってくれるものです。
また旧世代と比較するとコア数も増加しているので、単純に高性能化していると理解してもらえたら大丈夫だと思います。その処理能力はデスクトップに引けを取らないほどで、多くのクリエイターにとって武器になりえるCPUです。
Core i7-12700Hの性能(スコア)は?
名称 | スコア | クロック(OB) | コア(スレッド)数 | TDP |
Core i7-12700H | 27581 | 2.3GHz(4.7GHz) | 14コア20スレッド | 45W |
Core i7-11800H | 21794 | 2.3GHz(4.6GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10875H | 15812 | 2.3GHz(5.1GHz) | 8コア16スレッド | 45W |
Core i7-10750H | 12688 | 2.6GHz(5.0GHz) | 6コア12スレッド | 45W |
Core i7-1165G7 | 10514 | 2.5GHz(4.4GHz) | 8コア16スレッド | 95W |
Core i7-12700Hの処理能力はとても高く、Core i7-1165G7と比較すると約2.6倍もの差があります。
Core i7-1165G7(Tiger Lake)はTDPの調整をパソコンメーカー側が行えるので、実際に動かしてみないと性能がわからないという側面ももちます。モデルによっては期待値を大きく上回るものや、逆に下回る(けど省電力)みたいな製品もありますので参考適度にとらえてください。
比較に使ったパソコン
名前 | DAIV 4P | raytrek R5-AA6 |
画像 | ||
CPU | Core i7-1165G7 | Core i7-12700H |
GPU | Iris Xe | RTX3060 |
メモリ | 16GB | |
SSD | 512GB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD |
レビュー | >レビューを見る | >レビューを見る |
今回は、マウスコンピューターとドスパラのクリエイトモデル2機種を比較していきます。DAIV 4Pは1kgを切る軽さが特徴で、raytrekは本格的な性能をもったクリエイトモデルに仕上がっています。これだけでも性格の差はある程度理解できますよね。
ベンチマークソフトによる比較
CPU-Zによるベンチマークスコア
CPU | シングルスレッド | マルチスレッド |
Core i7-12700H | 748.5 | 6416.2 |
Core i7-11800H | 618.1 | 5186.6 |
Core i7-10870H | 543.1 | 4754.4 |
Core i7-10750H | 503.1 | 3169.5 |
Core i7-1165G7 | 613.7 | 2788.8 |
Ryzen 7 5800H | 580.7 | 5731.2 |
Ryzen 5 5600H | 558.6 | 4256.8 |
Core i7-12700Hのシングルスレッドスコアが748.5、マルチスレッドが6416.2となりました。
Core i7-1165G7と比較すると、シングル性能で約22%、マルチスコアで約230%性能がアップしています。処理能力だけを求めるなら選択すべきはどちらか明白です。
ただし、Core i7-1165G7は高めのシングルスレッドと、Iris Xeグラフィックスのおかげで意外とキビキビ動作するという面もあります。ちょっとしたRAW現像や動画編集なら問題なく行えるパフォーマンスがあることは補足しておきます。
CINEBENCH R20によるベンチマークスコア
CPU | シングル | マルチ |
Core i7-12700H | 700 | 5316 |
Core i7-11800H | 582 | 3869 |
Core i7-10870H | 490 | 3869 |
Core i7-10750H |
465 | 3089 |
Core i7-1165G7 | 569 | 2315 |
Ryzen 7 5800H | 558 | 4691 |
Ryzen 5 5600H | 528 | 3607 |
CINEBENCH R20でだとCore i7-1165GG7に比べてシングル性能は約23%、マルチ性能は約230%もアップしています。
薄型軽量でバッテリー持ちが良い製品にしやすいのがCore i7-1165G7、高い処理能力をいかして負荷のかかる作業をしっかり行えるのがCore i7-12700Hというイメージでしょうか。
RAW現像にかかる時間は?
無料現像ソフトの「RawTherapee」で約150枚(5GB)のRAWデータの一括変換を行いました。
CPU | 処理時間 |
Core i7-12700H | 3分42秒 |
Core i7-11800H | 4分23秒 |
Core i7-10870H | 4分54秒 |
Core i7-10750H |
5分10秒 |
Core i7-1165G7 | 5分17秒 |
Core i7-11700 | 4分16秒 |
Ryzen 7 5800H | 4分42秒 |
Ryzen 5 5600H | 4分23秒 |
RAW現像の差も大きく、Core i7-1165G7よりも2分以上速く処理を終えています。
このテストの1つの目安として5分前後であれば十分な性能を持っていると判断していますが、Core i7-12700Hにおいてはとんでもない速さで処理が完了していますね。Core i7-1165G7も及第点ではありますが、Core i7-12700Hを見てしまうとかすんでしまうのは仕方がないかもしれません・・・
動画編集の時間を計測
一眼レフで撮影した5分間の4K動画のレンダリングにかかる時間を計測しました。使用した動画編集ソフトはResolveです。
モデル | 構成 | 処理時間 |
raytrek R5-AA6 | Core i7-12700H×RTX3060 | 3分20秒 |
DAIV 5N | Core i7-11800H×RTX3060 | 4分48秒 |
G-Tune E5-165 | Ryzen 7 5800H×RTX3060 | 4分13秒 |
GALLERIA XL5R-R36 | Ryzen 5 5600H×RTX3060 | 5分01秒 |
DAIV 5P | Core i7-11800H×RTX3050 | 4分15秒 |
GCL2060RGF-T | Core i7-10750H×RTX2060 | 5分51秒 |
DAIV 4P | Core i7-1165G7×Iris Xe | 12分11秒 |
Core i7-1165G7の内臓グラフィックスは強力ですが、4K動画を扱うのは無茶というもの・・書き出しには12分以上もかかってしまいました。ごくごく軽め(フルHDクラス)のライトな編集作業にとどめておくのが無難です。
一方のCore i7-12700Hに本格的なGPUが組み合わせてあるモデルなら、高解像データ編集にも負けない処理能力があります。少なくとも動画をメインで扱うのであえれば第12世代CPUを選ぶほうが後悔は少ないでしょう。
Core i7-12700H vs Core i7-1165G7 まとめ
・Core i7-12700Hが最大で約230%ほど高性能
・RAW現像や動画編集では最新CPUが強い
・Core i7-12700H一択と言って良い状態
・Core i7-1165G7はライトユーザー向け
現状ですとCore i7-12700Hを選べば間違いありません。各種ベンチテストの結果でも大きな差が出ていますし、軽さやバッテリー持ちを優先させるのでなければCore i7-1165G7を選ぶメリットは少ないかもしれません。
Core i7-12700Hはデスクトップ並みの処理能力が持ち運べるようになるので、外で本格的な作業を行うクリエイターには武器になります。
ちなみに記事執筆時点だとCore i7-12700H搭載機が15万円くらいから、Core i7-1165G7搭載モデルは12万円くらいからというような価格帯でした。
>Core i7-12700H搭載のおすすめパソコンをチェックする
搭載おすすめパソコン
マウスコンピューター DAIV 4P
軽さを重視するなら1kg切りのDAIV 4Pがおすすめです。本格的な作業には向きませんが、重量を意識せずに持ち運べるメリットは大きいです。ちょっとしたRAW現像や動画編集も行えますし、約12時間というバッテリー持ちも魅力です。
ドスパラ GALLERIA UL7C-AA3
Core i7-12700Hと専用グラフィックスを搭載しながらも10万円台というドスパラのゲーミングモデルです。もともと倍近くの値段で販売されていたこともあって質感もよく、動画編集やゲームも楽しめるコストパフォーマンスに優れたノートパソコンです。Core i7-12700H搭載モデルとしてはもちろん最安値クラスです!
Legion 570i(82RB00HVJP)
15.6型WQHDモニターを採用したスタンダードなゲーミングパソコンです。第12世代Core i7-12700H×RTX3060の組み合わせならゲームも快適ですし、高解像データ編集も視野に入ります。最新世代が投入されたことで新鮮味は薄いですが、最新世代にもくいついていける性能はもっています。この構成で12万円台は本当にお得!
ASUS VivoBook 15 OLED K513EA
ASUSなら有機EL(OLED)パネルを搭載したノートパソコンが10万円前後で購入できます。美麗で正確な色再現が可能ですので、RAW現像が楽しくなってしまうモデルです。メモリは16GBですが簡単に増設も可能ですし、セールに入れば10万円以下で購入できることもしばしば・・手軽に写真編集環境を整えたい人にはめちゃくちゃおススメです!
マウスコンピューター DAIV Z6
16型WQXGA(2560×1600)モニターを採用しながらも、重量を約1.64kgに抑えた意欲的なモデルです。パフォーマンス面の心配は全くなく、モバイル性をフルに生かした活動が行えます。バッテリー駆動時間は約11.5時間、ACアダプターもコンパクト、PD対応など利便性も兼ねそろえています。
Dell NEW ALIENWARE X14 プラチナ
CNC機械加工のアルミニウム、マグネシウム合金、ステンレス製の素材の独自な組み合わせを採用した14インチのゲーミングパソコンです。軽さと耐久性を備えながら、パフォーマンスもしっかり引き出せるのが特徴です。時間や場所にとらわれたくないクリエイターやゲーマーにおすすめです!
ドスパラ raytrek R5-AA5
Core i7-12700H×RTX3050の組み合わせなので、描画性能はそこそこといったところ。目的がゲームや4K解像度の動画編集じゃないよという人なら性能は足りるでしょう。sRGBカバー率99%の性格なモニターを採用しているので、RAW現像などの利用におすすめですね。
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